オフィスチェアは日常の仕事に欠かせない重要なアイテムであり、快適な作業環境を提供する役割を果たしています。しかし、長時間の使用や日常的な摩耗によって、さまざまなトラブルが発生することがあります。ここでは、オフィスチェアの一般的なトラブルと、それらを修理およびメンテナンスする方法について説明します。
1. ぐらつきや不安定さ
トラブル
修理とメンテナンス
まずは、オフィスチェアを裏返して、脚部(ベース)と座面を接続しているボルトの状態を確認します。ボルトが緩んでいる場合は、六角レンチやスパナなどを使ってしっかりと締め直してください。特に座面裏のボルトは見落とされがちなので注意が必要です。
キャスターの動きが悪くなっている場合は、回転部に髪の毛やホコリが絡まっている可能性がありますので、取り外して清掃するだけでも改善するケースがあります。それでも改善しない場合は、劣化による破損が考えられるため、キャスター自体の交換を検討しましょう。汎用キャスターであれば、ホームセンターやネット通販で比較的容易に入手できます。
なお、座面下の昇降装置(ガスシリンダー)に不具合があると、椅子全体のバランスが崩れやすくなります。これらは部品交換で対応できる場合がありますが、フレームに亀裂が入っている場合や溶接部分が破損している場合は、安全性を考慮して買い替えを推奨します。
定期的な点検としては、1ヶ月〜3ヶ月に一度のボルトの緩みチェック、キャスターの回転状態の確認をおすすめします。とくにフリーアドレスのオフィスや共用チェアなどは、複数人が使用するため、想定以上に摩耗が進んでいる場合があります。
2. シートのクッションの劣化
トラブル
長時間使用していると、オフィスチェアの座面クッションが次第にへたってきて、弾力性を失ってしまうことがあります。座ったときに「お尻が痛い」「硬くて長時間座っていられない」と感じたら、クッション材が劣化している可能性が高いです。これはウレタンフォームなどの内部素材が潰れて、元の厚みや柔らかさを維持できなくなっている状態です。
このまま使用を続けると、腰や背中への負担が増え、姿勢の悪化や疲労の蓄積につながるおそれがあります。とくにテレワークなどで長時間座る方にとっては、健康への影響も無視できません。
修理とメンテナンス
座面のクッションが劣化している場合、最も確実な対処法はクッション材の交換です。チェアのシートが取り外し可能な構造であれば、内部のウレタンフォームを新しいものに交換できます。ホームセンターやネットショップでは、DIY用のウレタンフォームや布地も入手可能ですので、自分で修理することも可能です。
一方で、座面が一体成型で外せない場合は、後付けのクッションパッドを使用するのも一つの手です。低反発素材やジェルタイプ、姿勢矯正に効果のある設計のクッションなど、種類も豊富にあります。選ぶ際は、「長時間使用でも沈みにくい素材」や「体圧を分散してくれる設計」がされている製品をおすすめします。
また、クッションの劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスも有効です。座面にホコリや皮脂が蓄積すると、生地や内部の素材にダメージを与えますので、週に1回程度、乾いた布や掃除機で汚れを取り除き、清潔な状態を保つよう心がけましょう。
なお、あまりにもへたりが進行している場合や、シート部分に破れ・穴あきがある場合は、安全性や見た目の観点からも、チェア本体の買い替えを検討するのが望ましいケースもあります。
3. レザーまたは布地の損傷
トラブル
オフィスチェアの座面や背もたれに使用されているレザー(合皮を含む)や布地は、長年の使用によって擦れや引っかき傷が生じやすく、やがて穴が空いたり裂けてしまうことがあります。
特に硬い物をポケットに入れたまま座ることや、尖った金属・鍵などが引っかかると、表面素材に損傷を与える原因になります。見た目の悪化だけでなく、内部のクッション材が露出することで、さらに劣化が進行するリスクもあります。
修理とメンテナンス
小さな裂け目やピンホール程度の穴であれば、市販の補修用レザーシールや布用パッチ、または裁縫キットを使用して自分で修復することが可能です。レザー用接着剤やアイロン圧着タイプのパッチは手軽に扱え、見た目の補正と同時に損傷の拡大も防げます。
一方で、大きな破れや広範囲の損傷がある場合、素人の補修では対応が難しいため、椅子の張替え専門業者への依頼を検討してください。張替えは、見た目を新品同様に復元できるだけでなく、使用感の向上や長期的な耐久性にも繋がります。
また、普段から定期的に表面を乾拭きし、レザー専用クリーナーや布地用コロコロなどで埃や汚れを除去しておくことで、素材の劣化を防ぎ、長く美しい状態を保つことができます。
4. アジャストメントの動作不良
トラブル
オフィスチェアには、シートの高さや背もたれの角度、アームレストの位置などを調整する「アジャストメント機構」が搭載されています。これらの機能が正常に動作しない場合、快適な姿勢を保てず、肩こりや腰痛の原因になることもあります。
代表的な不具合としては、高さ調整レバーを引いても昇降しない、背もたれのロックがかからない、アームレストが固定できないといったものが挙げられます。これらは内部のばねやガスシリンダー、レバー接続部の摩耗・破損が原因であることが多いです。
修理とメンテナンス
まず、レバー部分や可動部にゴミや異物が挟まっていないかを確認し、軽く拭き取り掃除を行ってください。それでも改善しない場合、内部のパーツが劣化している可能性があります。
とくに高さ調整に使われるガスシリンダーは消耗部品であり、数年使用すると圧力が弱まり、調整が効かなくなるケースがあります。この場合は部品の交換が必要となるため、自力での修理は難しく、メーカーまたは販売業者への相談を推奨します。
保証期間内であれば、無償での修理や部品交換に対応してもらえることもあります。購入時の納品書や製品ラベル(型番記載)を確認のうえ、対応窓口へ問い合わせましょう。
定期的に可動部へ潤滑スプレーを使用するなど、軽いメンテナンスを行うことで、トラブルの予防にもつながります。
5. 音や騒音
トラブル
オフィスチェアを使用していると、「ギシギシ」「キュッキュッ」といった音が発生することがあります。動くたびに異音が出ると、静かなオフィスでは特に目立ち、集中力を妨げたり、周囲に不快感を与える原因にもなります。
こうした音の多くは、金属同士の摩擦や、樹脂パーツのすれ、または長期間使用による部品のゆるみなどが原因で発生します。特に頻繁に可動する箇所(背もたれ・座面の接合部・キャスターなど)はトラブルが起こりやすいポイントです。
修理とメンテナンス
まずは異音が発生する箇所を特定します。座面を傾けたとき、キャスターを回転させたとき、背もたれに体重をかけたときなど、状況ごとに音の出どころを確認してください。
音の原因が摩擦や金属音である場合は、市販の潤滑スプレー(シリコンスプレーなど)を可動部分やジョイント部分に少量塗布すると効果的です。オイルタイプではなく、ベタつかない乾燥系の潤滑剤を選ぶと、汚れの付着も防げます。
また、ボルトやネジが緩んでいることでも異音が発生するため、全体を点検し、六角レンチやドライバーを使用してしっかり締め直してください。特に座面裏の固定部分や背もたれの接合部は要チェックです。
それでも音が改善しない場合は、内部のスプリングや樹脂部品が劣化している可能性があるため、部品交換や専門業者への修理を検討しましょう。
6. キャスターの問題
トラブル
オフィスチェアのキャスターがスムーズに動かなくなったり、動作時に異音を発したりすることがあります。また、キャスターの種類によっては、フローリングやタイルなどの床面を傷つけてしまうこともあり、オフィスの美観や快適性に影響を与えます。
原因としては、キャスター内に髪の毛やゴミが絡みついて回転を妨げている場合や、長期間使用による劣化、床との相性の悪さなどが考えられます。
修理とメンテナンス
キャスターがうまく回らない場合は、まず椅子を逆さにして、キャスターに異物が絡んでいないかを確認します。毛髪やホコリなどが挟まっていた場合は、ピンセットやハサミで丁寧に取り除き、回転がスムーズになるかを確認しましょう。
クリーニングをしても改善しない場合や、キャスター自体が削れていたりひび割れている場合は、交換を検討するのが賢明です。多くのオフィスチェアは工具なしでキャスターの着脱が可能なため、交換作業は比較的簡単です。
床への傷が気になる場合は、硬質フローリング用のソフトキャスター(ウレタン製など)に変更するか、床面にチェアマットを敷くことで床材を保護することができます。特にフローリングやクッションフロアには、チェアマットの使用が有効です。
定期的な点検と清掃を行い、キャスターの寿命を延ばしながら快適な使用環境を保つことが、結果として椅子の寿命そのものを延ばすことにもつながります。
まとめ
オフィスチェアのトラブルを迅速に修理し、定期的なメンテナンスを行うことは、快適な作業環境を維持し、生産性を高める上でも非常に重要です。放置された不具合は、座り心地の悪化だけでなく、腰痛や疲労といった健康リスクにつながる可能性もあります。
トラブルの初期段階で適切に対処すること、そして必要に応じて専門業者へ修理を依頼することが、安全性と長寿命の両立には欠かせません。
アズカリバスターズでは、オフィス家具の保管や再利用だけでなく、椅子やデスクなどの修理にも対応しております。オフィスチェアのぐらつきやクッションのへたり、張地の損傷といったお困りごとも、お気軽にご相談ください。
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